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 葉山町の福祉課題



 地域福祉活動計画の策定にあたり地域の課題を明らかにするために、町内の地域福祉に関わる151団体・機関にご協力頂きアンケート調査を実施すると共に、 利用者の生活問題を把握している相談窓口や事業所を中心に、12の関係団体・機関との意見交換会を実施しました。また、平成16年度及び17年度に 社会福祉協議会で実施した小地域福祉活動意見交換会(ヒアリング)や交流会等の場で把握した課題、「地域福祉活動計画ワーキンググループ」で話し合われた 課題を追加し、240余りの声を元に葉山町の福祉課題として整理しました。
 第1章では整理した課題と共に、ご協力頂いた住民の方々や関係団体・機関の方々の声の一部をご紹介させて頂きます。

課題1 つながりの希薄化

@近隣関係の希薄化と生活の孤立

○地域で孤立し、保健センターにも来ない乳幼児の親がいる。
○民生委員児童委員活動では関わりを持つ必要があると感じても拒否されることがある。関わりをどの様に持てばよいか難しい。
○近隣の関係が希薄化していて、福祉サービス事業所から見守りなどを地域の方に頼みにくい。
○介護者自身が病気を抱えながら介護しているため、共倒れになりそう。
○20〜30代の引きこもりの問題は光が当たらずそのままになっているケースが多い。
○サラリーマンOBは地域との接点がなく、退職後に地域で活動する場が見つからない。
○女性は子育てなどで地域と関わりますが、男性の会社員は里の名前もわからないほど地域のことを知りません。
○ひとり暮らし、特に男性の場合一日中誰とも会話をしない日もある。
○障害者世帯は、幼稚園位までは健常児と一緒に遊ぶ等の関係があるが、子どもが小学生になると親も子も地域との関係がなくなってしまう。
○障害者がとっさの時に頼りになるのは近隣の方。民生委員への連絡だけでもしてもらえるような地域が必要。
○生活保護者は支出を抑えるために交際や行動範囲が狭くなり、地域で孤立しがち。生活保護者を地域で見守って欲しい。
○子どもたち多人数で遊ぶのが苦手、3人だとけんかになってしまうことがある。
○核家族で親と子ども3人の生活になってしまい、家族が地域から孤立する場合がある。いろんな子どもと関わることで上下関係を学んだり、つき合い方を学ぶのではないか。
○病院に行くときなど障害者を近隣で預かってくれると助かりますが、迷惑になるのではと思います。
○災害時の助け合いは起こってからでは遅い。普段から顔が見える関係が必要。

A自宅以外に居場所がない

○乳幼児の母親が子育てストレスから癒される場が欲しい。
○小学校低学年位までの子どもには、近くに遊び場や活動の場が少ない。
○地域と学校の連携により、同じ悩みを持つ親、そして子どもが集まれる場所、出会いの場、たまり場づくりが必要。
○作業所等になじまない在宅の障害者にとって地域での居場所がない。
○障害児の放課後の過ごし方が課題で、余暇支援が必要。
○介護予防には家から外に出ることが大切で、デイサービスに来るほどでもない方には、ちょっと集まっておしゃべりをするなどのつき合いの場が必要。
 プライバシーを守ろうとする気運が高まっていますが、転入世帯の増加や核家族化などが重なり、近隣関係の希薄化が進んでいます。このような状況が続けば地域や家族の福祉力が低下し、だれもが問題を家庭に抱え込み、些細なことでも深刻な問題に発展しやすくなります。中でも乳幼児がいる家庭、青少年から高齢者前までの世代、サラリーマンOB、男性高齢者、障害者世帯などは地域と関わりにくい傾向にあるようです。出会いの場が少なく、近隣との関わりが少ないことは、子どもにとっては情緒的な成長に影響が、高齢者では外出の機会が減りつき合いや役割が少ないことで、身体的にも精神的にも老化が進行しやすくなります。障害者は近隣になるほど関わりを遠慮してしまう事もその一例かもしれません。さらに防犯や災害時など、様々な生活面での不安があります。

課題2 日常生活のバリア

@物理的なバリア

○ミニデイサービス事業の実施にあたって、歩行が困難な方の送迎の対応が課題となっている。
○足腰が不自由な人が多く福祉会館のいこいの日に参加できない。
○障害児の親が病気の時など、養護学校への通学支援のニーズが多い。
○若い身体障害者は送迎などで外に出る手段さえ確保できれば、様々な社会生活ができるようになる。

A心や社会の仕組みのバリア

○障害への理解は進んでいるが、中には障害者を危険視する人もいる。積極的に外出しているが、近所の人にほど理解がされない。
○障害児の母親が組織化すると、どうしても当事者の家族というレッテルを貼られてしまう。
○子どもの障害を認めたくないことから、障害者手帳をもらう行為自体に悩んでいる方がいる。
○精神障害者が回復訓練を完了しても就労のチャンスがない。
 交通の便が悪かったり、山坂が多い地形や通りにくい道路があったり、公共施設等の設備などが不十分であることから、虚弱な高齢者や障害者、 乳幼児をつれての外出が困難となり、閉じこもりがちになる原因になっています。
 心のバリアでは、障害を持つ人々への理解が進んでおり、障害者やその家族は自ら積極的に地域に出て理解を促そうとする方も少なくありません。しかし、 中には障害者を危険だと感じる人がいるなど、心の壁はまだ存在します。また、「子育ては母親がすることが当たり前」「介護は家庭の中ですべき」といった 意識がまだ残されており、このような世間体の意識が家庭内で生活問題を抱え込んでしまう原因になります。
 制度等のバリアでは障害者が自立生活を営むため、働く場の確保や就労に向けた支援が必要です。

課題3 届きにくい情報・つながりにくい相談

@生活に必要な情報が届きにくい

○障害児ケアに必要な情報をまとめる。特に受け入れ施設の情報が必要。
○高齢者の施策・サービス・住民活動に関する情報はたくさんあるが、サービスの受け方がわからない人が多く、どこに連絡すればいいのかわからない。情報が手に入らない。
○障害者世帯ですが、町内会の回覧板が地域の唯一の情報源、口コミによる情報はほとんどありません。
○ひとり暮らし高齢者などには町内会や地域の情報が入らない。
○聾唖者への手話指導者が少ない。
○聴覚障害者は災害時に情報が届きにくい。災害情報などの携帯メールサービスを実現して欲しい。
○パソコンが使えない、地域との交流が少ない、情報が理解できない方への情報の保障。
○日本人と結婚する外国人、日本語を学ぶ機会があれば友達、仕事や日常生活に役立つ。

Aプライバシーとニーズ把握

○他者との接点を完全にシャットアウトしている家庭は問題の発見が難しい。問題はデリケートでプライバシーを守りつつ慎重に対応する必要がある。
○児童虐待の問題は相談や通報から把握できることは少なく、潜在的な問題は未知数。学校や地域が声を出して欲しい。
○民生委員に自分の情報を知られたくないという人が増えている。
○地域の問題が多様化、複雑化して民生委員の動き方が難しくなっているように感じる。プライバシー問題が取りざたされやすいことも動きを鈍らせる要因。
○プライバシー保護の関係で、サークルに来ない聴覚障害者を把握できない。
○音訳が必要な方の把握が困難なので、音訳サービスの提供ができない。
○介護保険制度施行後、対象者との関係が希薄化し、民生委員に情報が入らなくなった。
○独居高齢者などはサービスの受け方がわからない方が多い。
○ケアマネジャーしか相談相手がいない介護者が多く、相談されてもケアマネジャーだけでは全てに対応しきれない。
○介護保険事業所から担当民生委員に連絡が欲しい。民生委員はサービス担当者会議に参加したことがない。
○個人情報の保護が最大の課題。社会福祉施設に話し相手のボランティアが来てくれますが、ボランティアと入居者が気軽に話しにくくなり、 開かれた施設を目指しても壁となってしまう。
 多様化する福祉サービスの情報を把握するだけでも大変困難な事ですが、日常生活では近隣関係の希薄化や町内会離れ等から、地域の情報も届きにくくなっています。特に 障害者にとっては災害時などの緊急情報が入りにくいことは大きな不安となっています。
  地域福祉の担い手の立場では、他人に知られたくないという意識などから、問題の発見が難しく、地域で見守りや助け合い活動を行おうとしても、対象者が把握できなかった り、プライバシー保護の問題から活動を躊躇してしまいます。民生委員児童委員は地域の相談役としての役割が期待されていますが、介護保険制度施行後、介護の事は ケアマネジャーに相談に行く、生活に困っていても親御さんが元気なうちは相談に来ないなど、地域のニーズが把握しにくくなっています。
  福祉サービスの多様化から相談窓口は増えて複雑化しており、どこに相談しに行って良いかわかりにくいといった問題があります。また、個別支援を行う団体や 各種相談窓口はPRや連携が不十分で、特に事業者、行政、NPOなどの民間非営利活動の間では、プライバシーの保護が壁になり、必要な相談窓口や活動にうまく つながらなかったり、相談を抱え込んでしまう事があります。 

課題4 担い手の悩み

@活動のPR

○ボランティア活動を行っていても自分たちの活動を知る人が少ない。
○移送サービスを利用して頂ければ、寝たきりの方でも音楽鑑賞ができます。あきらめないためにも活動のPRをしたい。
○消防団の活動は休日を使った活動で、隊員の負担が多い割に大変さが理解されない、今後担い手が不足することが考えられる。
○NPO・ボランティアグループの活動への理解が得られない。

Aコーディネートや情報の不足

○活動に賛同してくれるボランティアが必要なときに見つからないときがある。
○介護保険事業所間の情報交換の場が少ない。
○子ども会行事の企画を地域の団体や個人に協力してもらいたいのですが、どの様な団体があり協力してくれるかわかりません。
○地域の情報が福祉サービス事業所に入らない。
○地域の教育力、地域で子育ては誰もが重要だと言います。学校の総合的な学習の時間で、地域には体験や交流の場の提供を期待していますが、 団体や人材を把握していません。
○高齢者の話し相手になりたいがきっかけがない。

B活動拠点、担い手、学びの場の不足

○ミニデイサービス事業を実施するのに、地域内に拠点の確保が困難だったり、利用料が高いなどの問題がある。
○ミニデイサービスの回数を増やしたいが、民生委員や町内会役員が中心になる以上限界がある。
○仕事を持つ母親が増え、子ども会育成会員が不足している。
○ボランティアグループで会員数の不足や高齢化が課題となっている。
○地域の助け合い活動を行う上で、支援者の養成が必要。
 近年市民の手による活動は団体数や活動の種類も増加してきました。しかし、チラシなどでPRをしても周知できる範囲は限られてしまい、自分たちの活動が地域に うまく伝わらない、関係者から理解が得られない、人が集まらないなどの問題が起こります。
 また、お互いの活動を知らない、身近な地域の活動や活用できる資源があるのに結びつかないなど、独自に必要な情報を把握することが困難であることがわかります。
 担い手の確保についても課題があります。活動を発展・継続していくためには安定した担い手の確保や養成が必要ですが、新たな担い手が発掘できないことで特定の人に 負担がかかりすぎたり、活動が立ち上げられなかったり、団体等が無くなってしまうことがあります。

課題5 新たな生活問題への対応

○行政のふれあいごみ収集は手続きや審査が厳しく、そのためにヘルパーを入れることは難しい。
○子育て支援で0歳児の受け皿が少ない。
○未就学児童を安心して預けられる場が地域に欲しい。
○障害者の介護は母親中心。一時預かりにより自由な時間を作ることでストレスが解消される。
○親亡き後、障害者の地域での生活が課題。
○ショートステイやデイサービスに行きたがらない高齢者が多い。
○障害児が集団の中で社会のルールを学ぶ環境作りのため、保育園や幼稚園で障害児の受け入れ態勢の充実が必要。
○学童クラブがあるが障害児は一人も入っていない。
○ボランティアでお手伝いしていた高齢者が、ボランティアだけでは対応できなくなり自宅で暮らしたいと泣きながら施設に入所され、 最期は病院で亡くなりました。なんとか 自宅での生活を支えられなかったのかと思います。
○施設での生活は食事やケアなど与えられたものだけでなく、自分で選ぶという当たり前の事が必要。
○認知症高齢者が徘徊したときなど、地域住民がいち早く発見する必要がある。
 一人ひとりの生活に目を向けてみると、現在の福祉サービスや活動だけでは対応できなかったり、福祉問題として光が当たりにくいニーズが数多くあり、障害があると サービスの利用ができないなど、バリアフリー化が必要なサービスがあります。
 また、施設に入らず、できる限り在宅で暮らしたいという切実な思いがあることもわかります。できる限り身近な地域で、あるいは自宅にいるときと同じような 生活環境で必要なサービスを受けながら暮らしていく・・・介護保険の改正などから、地域に密着した小規模多機能施設の創設が見込まれます。施設に入居している 方々が地域との関わりを切らずに、又は新たに作り上げて自分らしく暮らしていくためには施設と地域社会との関わりが必要です。「近くの友人宅にお茶を飲みに行く」 「自治会の方から声がかかる」など、施設にいても自宅にいるときと同じように近隣との関わりや地域での役割があることが求められています。